訪問診療の新規導入とよくあるご質問

 

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

今回のまごころブログは、訪問診療の新規導入・連携を行っている訪問診療同行看護師 湊です。

 

現在、まごころクリニックでは233名の方の訪問診療を行っております。146名の個人宅と13施設87名へお伺いしています。(施設形態によっては個人宅へ訪問とみなしている場合があります。)

 

常勤医師2名、非常勤医師2名、同行看護師5名で作るにぎやかなチームが、軽自動車のまごころカーで診療に回っています。

 

当院の訪問診療のご依頼は、近隣のケアマネージャーのみなさんと近隣病院からが最も多く、ときに都内の病院から慣れ親しんだご自宅での在宅看取りのご希望もお受けしています。

 

ご依頼のお電話では、在宅酸素や点滴・経管栄養などを行っている方の在宅療養に向けた退院の調整、多くの病院に通院しているためお薬の内服管理が困難な場合など医療行為が必要な方のご相談、体調に不安を抱えた方のご家族さまからの診療相談、認知症の進行に伴って通院困難となった方のご相談、といった内容を多くいただいています。

 

いただいたご依頼については、医師と共に訪問範囲や緊急性などを判断し、診療開始時期を調整いたします。

 

最近では慢性期疾患のみならず、神経難病・呼吸器疾患・重症心不全・がん末期の方など幅広い疾患の訪問診療を行っておりますが、疾患によっては事前準備が必要な場合もあり、なかなか早期導入のご希望に沿うことが困難なこともありますのでご了承ください。

 

紹介元の病院より診療情報提供書(紹介状)をいただいた後、当院にてご家族さまと事前面談を行い、訪問診療についてのご意向の確認、実際の訪問診療の内容・費用負担・当院の特性などをあらかじめご説明させていただきます。ときにはご本人さまも一緒に面談に来られることがありますが、1時間程度を要するためお疲れになってしまう方がほとんどです。まずはご家族さまのみでご来院いただければと思います。

 

ご本人さまのみをご自宅に残して来院が困難な場合には、看護師と事務職員がご自宅へお伺いし、説明をさせていただくこともありますので、その際はご相談ください。

 

この事前面談でいただくことの多い質問内容を一部ご紹介させていただきます。

 

  • 訪問診療で介護保険が必要なのはどうしてでしょうか?

在宅療養をしていく上で、医療の提供だけでは不十分で、日常生活をマネジメントするケアマネージャーさんや各種介護サービスの方々との連携はとても重要です。

医療保険では医師の診察・お薬の処方・各種医療処置などの医療を提供しますが、介護保険では安心した生活をお送りいただけるよう『居宅療養管理指導』として、医師から介護職や利用者さま・ご家族さまに向けて、居宅サービスを利用する上での留意点・介護方法等についての指導・助言をさせていただいています。また、ケアマネージャーさんへの情報共有として、居宅療養管理指導書を作成しています。この居宅療養管理指導の実施のため、介護保険も併せて使用する必要があります。

 

  • 介護保険を持っていない場合は訪問診療を利用できないのでしょうか?

ご心配いりません。介護保険をお持ちでなくても、通院が困難な方であればどなたでも利用できます。

 

  • 一般的な外来通院より費用が高いのはどうして?

医師による24時間体制の緊急対応を可能にするための『在宅時医学総合管理料』がかかります。医師は毎日交代で24時間の緊急電話への対応を行っています。

また、月の訪問回数により診療費が異なるため、訪問診療の費用は月ごとのご請求(診療の翌月にご請求)となりますのでご了承ください。

 

  • あまり費用が高いと・・・

高額医療費制度が適応になる場合があります。年齢と収入に応じて自己負担限度額が設定されています。また、各種公費負担が適応される場合もありますので、費用面でご心配なことがありましたら遠慮せずに事前にご相談ください。

 

表 在宅療養にかかる一部負担金のご案内(1割負担の例)

 

  •  24時間の緊急対応とは?何をしてくれるのですか?

初回訪問時に緊急連絡先をお渡しします。体調不良の時など、まずは当院にご相談ください。平日日中はクリニックの待機看護師、夜間・休日は医師が直接お電話で対応いたします。

お電話の内容から状況を判断し、お手持ちのお薬のご使用を勧めたり、訪問看護の出動を依頼したり、場合によっては往診にお伺いします。また、病院受診の必要性がある際には救急搬送の手配もいたします。

早めの対応により事なきを得ることもございますので、次回の訪問まで我慢せずに、まずはご連絡をお願いいたします。

 

  • 訪問看護はどんなときに使うの?

訪問看護の導入は、医療的ケアが必要と医師が判断した場合に当院やケアマネージャーが手配いたします。医療的ケアが必要な場合とは、褥瘡(床ずれ)ができてしまった、点滴が必要になった、痰が多く吸引が必要になった、尿カテーテルが入っているなどだけでなく、病状に応じて看護ケアを要する場合、介護に対する不安が強い場合、緊急の体制を強化する必要がある場合なども含みます。

介護保険での訪問看護導入は単位数で導入回数が決まってしまいますが、一部病状や病気の種類によって、医療保険での訪問看護導入が可能になる場合があります。いずれの場合でも医師による訪問看護指示書が必要となります。

 

  • 訪問薬剤を勧められましたが、入れないといけないものですか?

飲み忘れなどにより訪問診療時に残薬が多く見られる方、独居や高齢者同士の老々介護・認知機能低下などにより間違えて服用してしまうおそれのある場合、重大なトラブルに結びつくため、必要に応じて訪問薬剤のご提案をさせていただくことがあります。

訪問薬剤のメリットは、処方箋のやり取りのための来院・薬局まで薬を取りに行くこと・調剤までの間の待ち時間が不要なこと、自宅で薬剤師の説明をゆっくり聞けること、残薬などの調整をして必要な分だけの処方を医師へ提案することが可能なこと、必要時には一包化し、新規の処方薬を追加したり、中止のお薬を抜いたり、1週間ごとの配薬をするなど在宅での服薬管理をしてくれることです。

デメリットとしては、1回のお届けに付き1割負担の方で約508円の自己負担金が発生することです。

がん末期や高カロリー輸液を行っている患者さまなど特殊な薬の処方が必要になる場合、一般の調剤薬局では在庫がないことがあります。当院が連携する訪問薬局は、必要な薬剤の在庫の確保と、土日の対応が可能なところもございます。一部の患者さまには必要に応じて訪問薬剤導入をお願いしていますのでご了承ください。

 

  • 尿カテーテルの交換は可能ですか?また、膀胱ろうや腎ろうの交換は可能ですか?

尿カテーテルの場合、女性の患者さまは訪問看護にて交換し、男性の患者さまは訪問診療時に交換します。

交換の頻度は月1回ですが、汚染状況に応じて月2回交換することもあります。

膀胱ろうは月1回、訪問診療時に交換します。

腎ろうの交換は透視検査が必要になるため基本的に在宅では行っていません。

詰まったり抜けたりした場合にすぐに対応できるよう、ご自宅にカテーテルの予備を置かせていただくことがあります。

 

  • 胃ろうの交換は可能ですか?

蒸留水で固定するバルーンタイプの胃ろうは在宅で交換可能です。汚染具合にもよりますが、およそ3ヶ月に1回、訪問診療時に超音波検査を用いて交換いたします。

バンパータイプの胃ろうは病院で交換してください。在宅での交換をご希望される場合は、造設先と連携して必要物品などのご準備をさせていただくことがあります。

急なトラブルで胃ろうは抜けてしまうこともあります。緊急時に備え、ご自宅に1個予備を置かせていただいています。

また、訪問看護が入っている場合は、固定水の確認を2週に1回程度、訪問看護師に依頼しています。

 

  • 呼吸が苦しくなったらどうしたらいいでしょうか?

ご自宅でも酸素を使用することができます。在宅酸素の新規導入は当院で手配が可能です。また、紹介元の病院より引き継いで同じものを使用することも可能ですのでご安心ください。

在宅酸素のほかに、非侵襲的陽圧換気療法などにも対応しています。

ただし気管内挿管が必要な場合には病院への救急搬送となります。

 

  • 入院中に吸引器やネブライザーを使用していましたが、在宅ではどうしたらいいですか?

緊急時に一時的に吸引器が必要な場合は、クリニックや訪問看護で準備することができます。

長期のご使用の際はレンタルまたは購入の必要があります。一部障害福祉サービスなどの利用が可能な場合がありますので、まずは担当のケアマネージャーさん・訪問看護ステーション・当院へご相談ください。

 

  • 気切カニューレ交換は可能ですか?

汚染状況にもよりますが、およそ月1~2回、訪問診療時に交換します。

急なトラブルで抜けてしまうこともあり、緊急時に備え、ご自宅に1個予備を置かせていただいています。

 

  • 腹水や胸水は自宅で抜けますか?

腹水や胸水にはたんぱく質などの栄養素が多く含まれています。腹腔穿刺と胸腔穿刺を行ったことにより、貴重な栄養がとられてしまい、体調を崩してしまうことも少なくないため、当院では積極的に抜くことはありませんが、ご本人の苦痛に応じ、穿刺に伴う危険性を十分に説明・ご理解をいただいた上で行うこともあります。

 

  • 経管栄養の必要物品は購入が必要ですか?

当院では経管栄養を行っている方に、1ヶ月ごとに必要分を支給しています。支給範囲を超えた場合には自費購入をお願いしています。

 

  • 吸引チューブは買わないとだめですか?

気管切開を行っている方は、指導管理料をいただいているため、吸引チューブとアルコール綿、必要に応じて消毒液をお渡ししています。それ以外に吸引が必要な方については、1ヶ月に10本お渡ししています。アルコール綿はご自身での準備をお願いします。

 

  • 臀部に発赤があるのですが、予防的に貼るフィルムはいただけますか?

褥瘡の予防に使用する物品は自費購入をお願いしています。

しかし、真皮を超える褥瘡が発生した場合には、処置に必要な物品をお渡ししています。

 

 

以上はご質問のほんの一部ではありますが、このようにさまざまなご相談をお受けしています。

ご不明な点がございましたら、遠慮なく当院までご連絡ください。

 

四街道まごころクリニック

同行看護主任 湊


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