連日の酷暑が続いていますが、皆さま体調はいかがでしょうか。気温の上昇により、心身ともに疲れがたまっている方も多いことと思います。
近年、気温の上昇は顕著で、熱中症による救急搬送者は年々増加しています。日本国内での熱中症による死亡者数は年間1,000人を超えており、社会的な課題としても注目されています。
こうした状況を受け、2025年6月1日から労働安全衛生規則が改正され、事業者に対する熱中症対策の実施が義務化されました。
具体的には、熱中症患者の報告体制の整備や、悪化を防ぐための措置の準備、作業従事者への周知などが求められています。
これまで以上に早期対応が鍵となり、「めまい」「ふらつき」「足がつる」といった初期症状の段階で、本人が気づいて申し出る、または周囲が異変に気づいて早めに対応することが重要です。
日常生活でもできる熱中症対策
熱中症を防ぐには、職場だけでなく日常生活での予防も欠かせません。以下のポイントを参考にしてみてください。
◆飲酒やカフェインの摂取に注意
アルコールやカフェインには利尿作用があり、脱水を促進します。特に二日酔いの状態での屋外活動は危険です。
◆睡眠不足や朝食抜きはNG
体調を整えるためにも、十分な睡眠と朝食は欠かせません。
◆衣服選びも大切
黒い服は熱を吸収しやすいため避け、白や黄色などの明るい色で通気性の良い素材を選びましょう。オーバーサイズのTシャツなども有効です。
◆暑さに慣れる「暑熱順化」
1週間〜10日ほどかけて徐々に屋外活動を増やすことで、体が暑さに慣れます。夏のイベントでは、選手以上に観客のほうが順化できていないこともあるため、注意が必要です。
高齢者は特に注意を
高齢者は体温調節機能や感覚機能が低下し、熱中症のリスクが高まります。
◆喉の渇きを感じにくい
加齢により口渇中枢の感度が鈍くなり、水分補給が遅れがちです。
◆夜間頻尿による水分制限
夜間の排尿を避けるために夕方以降の水分摂取を控えがちですが、脱水を招きます。
◆薬の影響
高血圧や糖尿病、アレルギーなどの薬の中には、発汗を妨げたり脱水を助長したりするものがあります。
◆エアコンの使用を避けがち
寒がりや電気代への懸念から、エアコンの使用を控える方もいます。
熱中症は命にかかわる問題です。小さな対策の積み重ねが大きな予防につながります。自分自身や周囲の方々の体調に気を配り、無理のない範囲で過ごしていきましょう。
医療法人社団まごころ
四街道まごころクリニック
理事長/院長 梅野 福太郎
