災害支援とBCP


お久しぶりです。同行看護師の湊です。

私はまごころに入職し、1月で丸9年になります。

新しいクリニックに移転してから6年。建物も築30年。

だいぶ老朽化が目立ってきました。

移転後、日本全国では大規模災害が数回あり、千葉県もいつ被災するかわからないと思うと、自分だけでなくこの老朽化したクリニックをどう守っていったらいいかを考える機会がありました。

 

つい先日、千葉県看護協会の研修で『災害支援ナース養成講習』があり、参加してまいりました。

災害支援でよく聞く【DMAT】とは、災害派遣医療チームのことで、医師、看護師、業務調整員(医師・看護師以外の医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場に、急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームです。

 

今回の研修内容である【災害支援ナース】とは、看護職能団体の一員として、被災した看護職の心身の負担を軽減し支えるようと努めるともに、被災者が健康レベルを維持できるように、被災地で適切な医療・看護を提供する役割を担う看護職のことであり、都道府県看護協会に登録されています。

 

災害時、被災地で働く医療者も被災者であり、支援の手が必要となります。その支援を災害の知識を持った看護師である災害支援ナースが担います。

 

まず各都道府県より要請を受けた日本看護協会は、各自治体の看護協会へ派遣要請をします。そこで研修を終え、登録された災害支援ナースが現職で休暇を取り災害現場へ派遣されるのです。1回の派遣はおよそ3泊4日。基本現地集合の為、前後の準備と移動と片付け、帰宅後の休息とメンタルケアなども考えると、約7日間のお休みが必要となります。

 

派遣分の費用は依頼先の都道府県より支払われますが、休暇で行く以上、職場の皆さんのご理解をいただく事が前提のようです。当院でもまだ実例はありませんが、この先派遣要請が来るような大規模災害がないことを祈ります。

 

https://www.nurse.or.jp/nursing/kikikanri/saigai/index.html
災害支援ナース派遣の仕組み/引用:公益社団法人日本看護協会ホームページ

 

他方で、私は当法人の「感染症防災対策委員会」に所属し、BCPの作成にも携わっております。

BCPとは、「Business Continuity Plan」の頭文字を取った言葉で、日本語では「事業継続計画」と呼ばれます。

2021年4月施行の「令和3年度介護報酬改定」において、令和6年から介護サービス事業所でのBCP策定が義務づけられました。災害大国である日本で、自然災害や感染症が発生した場合であっても、必要な介護サービスが継続的に提供できるよう、全ての介護サービス事業者を対象に、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務づける、といった内容です。

 

令和3年度介護報酬改定では、「3年間の経過措置期間を設けることとする。」とされており、令和6年から義務化となります。当法人でも今年度中に完成を目指し鋭意作成中です。

しかしながら、メンバーと作成していく中で、『大きな壁』の存在に気づきました。

それは行政の協力なしにBCP作成は完結しないのではないか、ということです。大規模災害時は各事業所間の垣根を超えた活動が不可欠となります。四街道市の介護・医療・福祉関係各所が横のつながりだけでは乗り越えられない壁を、ぜひ行政に伴走していただけると、より実効性の高い地域BCPを作ることができるのではないかと考えています。

同行看護師 湊 


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